image: 93“お堀に映った月をみんなで見てる”
内堀通りの東京駅側の歩道。そんなに遅くない夜の時間だったと思うけれど、真上を向かないと見えない位置に月があった。
低い位置にある月は、みんなから見えるから確かに1つしか存在していないと思えるのだけれど、頭の真上にある月は、一人に1つあてがわれているような気がして、もしやこれは私専用なのではと思う。
内堀通りを走る車にも、皇居周りを走っているランナー[1]にも、今なら一人1つ月があるんだけど、いかんせん月は静かにしているので、それに気づいているのは自分だけなのだ。まあ、車に乗ってたら真上にある月には気づかないか。ああ、ランナーは皇居側を走るから、お堀[2]に映った月をみんなで見てるから、とても自分専用などという大それたことは考えないか。
この、大きな古いビルの横を歩いていたから、ちょっとしたオマケのような感じで、月が私専用になったように思うのね。それならば、ちょっと記念にと、写真に収める。内堀通り沿いのギリシャ風の柱[3]の横で輝く月はピンボケの写真となって、私だけのものになりました。
referenced works
- 皇居周りを走っているランナー:コースにもよるが、一周で約5km。当然のことだが、左回りか右回りかによって上り坂と下り坂が逆になる。同コースを散策していると、左回りのランナーを比較的多く見かけるが、実際のところはどうだろうか。半蔵門駅そばには、ランナー御用達の銭湯も存在し、皇居ランナーのコミュニティが形成されている。 ↩
- お堀:皇居を取り囲む堀は、季節ごとにさまざまな変化を見せる。お堀の標高差は20m。2016年の夏季五輪に向けて、皇居の堀でスイムを行うなどの提案もあったという。実現されれば、さぞや壮観な眺めであろう。 ↩
- ギリシャ風の柱:ここで言及されているものは、ドリス式とコリント式の折衷様式の列柱と思われる。俗にギリシャ風と言われる柱には、ギリシャ・ドリス式、ローマ・ドリス式、イオニア式、コリント式、トスカナ式などがあり、それぞれの様式を折衷したコンポジット式がある。見るものにクラシカルかつ荘厳な印象を与えるのは、ギリシャ神殿の印象が強いためだろうか。それとも、屹立する巨大な柱には、人を圧倒する力があるのだろうか。 ↩
location information
- 場所: 千代田区丸の内の明治生命館の前
- 時間: 夜
- 緯度: 35.679296
- 経度: 139.762316
- 地図: Google Maps
commentary